北朝鮮覚醒剤問題

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金正恩氏2017年の北朝鮮を振り返る
北朝鮮の地方都市で今年2月、少年少女の暴走によるとんでもない騒動が持ち上がった。
中学生に覚醒剤蔓延!
咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋によれば、「2月5日、会寧(フェリョン)市のキム・ギソン第1中学校で、生徒の父母を集めた『大総会』が開かれた。
これを主導したのは、薬物と不法映像物、売買春を取り締まる中央の特務機関である『620常務』。
内容は、オルム(覚せい剤)を服用して性行為を行っている生徒らの非行問題で、とくに悪質と見られた生徒らの実名が公表された」という。
このような問題は、以前にも起きている。
2011年1月、清津(チョンジン)市の南江女子中学校で当局が取り締まりを行ったところ、16歳と17歳の生徒の相当数が覚せい剤の吸引道具を持っていたことがわかったのだ。
今年2月のケースも同様に深刻で、情報筋は「総会では、生徒の6人に1人が覚せい剤を服用している点が強調された。当局は子供でも容赦しない方針で、刑事処分が下されるらしい」と話していた。
売春婦の間で蔓延するオルム
「恵山市の駅前広場には、夜になると多くの売春を持ち掛ける女性や客引きが現れます。一回の値段は中国元で20元(約300円)から30元(約450円)。客引きがいる場合には別途10元(約150円)を払います。
行為をするのは近所の民家や宿屋の一室。男性はコンドームを着けません。客は軍人がねらい目です。駅前に降り立つ軍人は将校の場合が多く、出張のための現金を持ち歩いているためです。電車も予定通りに動かないので、時間をつぶす需要もあります」。
北朝鮮北部・両江道(リャンガンド)第一の都市、恵山(ヘサン)市の事情に詳しい脱北者は25日、デイリーNKジャパンの取材にこう答えた。30元は約4万北朝鮮ウォン。コメ9キロ程度が買える。
女性の多くは、麻薬に酔った状態で道端に立ちます。『オルム(氷)』と呼ばれる麻薬(覚せい剤)は1グラム50元(約750円)程度で買えます。これを10回に分けて吸うんです。こうすることで、夜通し通りに立つことができるようになるだけでなく、見知らぬ男性の前での恥ずかしさも抑えることができるというのです」
役人も中毒!
一方、毎日新聞は8月、北朝鮮のエリート層などで薬物汚染が広範囲に広がり続けていることを示す内部文書を入手したと報じた。
文書は、昨年夏ごろに秘密警察の国家保衛省が平安南道(ピョンアンナムド)の中規模都市で開いた住民向け講演を記録したもので、同年5月までにこの都市と周辺地域の密売人500人を芋づる式に摘発したと説明。その中心には「党や司法機関で責任ある地位にいる家族や親族が多数いた」と明らかにしているという。
北朝鮮における薬物汚染の実態は、久しく前から伝えられてきた。そこにエリートが関わっていることも周知の事実である。
こうした現状については金正恩党委員長も深刻にとらえているようで、再三にわたり取り締まり強化の方針を打ち出してきた。韓国の北朝鮮情報専門サイト、ニューフォーカスは9月、北の内部情報筋の話として次のような情報を伝えている。
「最近、当局は薬物取締に関する中央党の指示文を全国の企業所、人民班(町内会)、学校に通達した。指示文には、薬物の使用は社会主義の精神を弱める毒と同じであり、国家の指示に背き乱用した者について『内部の反逆者』として扱うと警告している」
北朝鮮において、国家に対する「反逆者」は死刑もしくは政治犯収容所送りの対象になる。一般の刑事犯とは次元の違う重罰を受けるということだ。
しかしこの情報筋は、こうした指示の効果について疑問視している。
「わが国においては、薬物を使用する人の数がますます増えている。とくにひどいのが保安員(警察官)だ。彼らは捜査で没収した薬物を上部に提出したり廃棄したりせず、自分たちで使っている。裁判官たちも同様だ。そんな状態で、どうやって薬物の乱用を根絶するのか。はっきり言って、わが国には『内部の反逆者』ばかりが暮らしているような状態だ」
おそらく来年もまた、こうした情報が次々に伝えられるはずだ。いくら軍事力の強化を図っても、足元の社会が退廃すれば体制は立ち行かないということを、金正恩氏はより強く認識すべきなのだ。
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