髙木菜那 マススタート 金メダル!初代女王に!
- 2018.02.25
- スピードスケート

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マススタート初代女王
新種目のマススタートが行われ、女子の決勝で高木菜那が団体追い抜きに続き今大会2つ目の金メダルを獲得しました!
金メダル2個は日本女子初の快挙!
同一大会での複数金メダルは夏季五輪も含め、日本女子史上初の快挙。冬季五輪の日本女子はこれまで、通算でも金メダルを複数獲得した選手はいなかった。
1回戦1組を5位で通過すると、決勝も勝負強さを発揮。最終カーブでトップに立ち、そのままフィニッシュした。プレ五輪の昨年2月の世界距離別選手権で銀メダルに輝いた得意種目で、21日の団体追い抜きに続く金メダル。
この結果、妹の高木美帆(23=日体大助手)と合わせ、姉妹で今大会5個のメダルを獲得した。
ちなみに、スキージャンプの船木選手が、長野オリンピックで個人で金メダル2個を取って以来20年ぶりのことです。
ゴール直後歓喜のガッツポーズ!
1メートル55の小さな主役は劇的な幕切れの瞬間、氷上を跳びはねるように喜びを爆発させた。個人種目5000メートルは12位で最下位。
妹の活躍とは対照的にどん底からスタートしながら“脇役”が、驚がくの金メダル2連発で、一気にヒロインへと駆け上がった。
金・銀・銅メダルをコンプリートした妹に劣らぬ勝負強さで歴史に名を刻み「美帆だけじゃなくて、菜那もいるんだぞというのを見せられたと思います」と胸を張った。
歓喜の約1時間半前の状況から、誰がこの結末を予想できただろう。1回戦2組で佐藤綾乃(21=高崎健康福祉大)が転倒して敗退。
個人種目ながら日本は2人の「チーム戦」として捉えていただけに、団体追い抜きで金メダルを獲った仲間を失うのは想定外の事態だった。
だが、決勝前に妹から「行けるぞ!」と闘魂を注入され、嫌な空気も一蹴する痛快なラスト1周で勝利をもぎ取った。
最後の最後までスハウテン(オランダ)の背中で身を潜め、最終コーナーを出た瞬間にインから前に出る。
50センチの隙間を高木菜は見逃さなかった。先頭を滑る選手がわずかに外に膨らんで出来たスペースに、155センチの体を傾けながら切り込んだ。
「ここで行かなきゃ、いつ行くんだ」。鮮やかに逆転すると、細かなピッチを刻み、フィニッシュラインを駆け抜けた。「やったー!」。両手を突き上げ、叫ぶように、何度も喜びを爆発させた。
頭は冷静だった。1回戦で佐藤が転倒。2人で協力する作戦が使えなくなったが、妹美帆からの「いけるよ!」の一言で、腹をくくった。
大柄のオランダ選手の後ろに付き、隠れるようにして体力を温存。幼い頃にサッカーで培った視野の広さも生かし、ラスト勝負で残った足を爆発させた。
「美帆だけじゃなく、菜那もいるんだというところを見せられた。本当にうれしい」。表彰台の中央で25歳の笑みがはじけた。
昔から強いメンタルで有名!
スケートとともに取り組んだサッカーでは小6で十勝地区を制して全道3位に入った。男子中心のチームに唯一、女子として名を連ねて守備で貢献。
「菜那はボーッとするミスが多い」とコーチだった小田新紀氏(43)は明かすが、その一方で「菜那なら何とかしてくれる」と頼りにもしていた。
DFラインを上げる際に1人残って失点するミスを犯したりもしたが、この日の勝因を高木菜は「サッカーをやって周りを見る力がついた」と話す。経験は夢舞台で生きた。
帯広南商高2年の時、部活動の遠征で東京へ向かう飛行機の最前列に、赤いマフラーを巻いたアントニオ猪木氏が座っていた。
機内でスケート部の仲間と盛り上がったが、羽田空港で友人たちが“スター”に近寄るのをためらう中「写真撮ってください」と申し出て記念撮影=写真。
シャッターを押した東出監督が「大したもんだなあと思った。度胸はほんと凄いよ」と強心臓に感嘆したほどだった。
日本のメダルラッシュに沸いたリンクの最後を締めた新種目の初代女王。「本当に最高の五輪になって良かった」と話す一方「個人種目ではまだ結果が残せていないので妹に追いつくぐらいの選手になりたい」。
大舞台でも臆することのない強い気持ちが、平昌にこれ以上ないインパクトを残した。
昔は、小さな体格に悩む
決勝に残った16人で身長は最も低かった。「もう少し大きかったらなー」中2で背が止まり、悩んだ時期もあった。
だが、世界と戦い続ける中で、それはいつしか心の支えにもなった。「この身長でよくやっている」。自分を励ます材料に変えることで、逆境に立ち向かってきた。
今回の五輪で採用された新種目。その小柄な体は、選手がぶつかり合うように滑るレースで、最大の武器となった。
昨季痛めた右膝は、限界ギリギリだった。良くなったと思えば、また痛む。朝起きて、何をするよりも先に膝の状態を確かめた。
練習ができず、国内での試合でも精彩を欠いた。支えてくれたのは周囲の声だった。トレーナーからは「今は悔しい思いをしてもいい」と背中を押され、五輪選考会前に弱音を漏らすと、美帆からも「もう諦めるの?」とハッパを掛けられた。
妹のような、恵まれた才能があったわけではない。世界と戦うため、1歩ずつ滑りを磨いてきた。高校卒業後に名門・日本電産サンキョーに入社。
10年バンクーバー五輪メダリストの長島、加藤が鬼気迫る表情で練習に臨む姿を見て、五輪の意味を知った。「小柄だからこそ、技術を磨く」。この日の金メダルにつながる覚悟の原点だった。
個人で管理栄養士と契約し、メンタルトレーナーもつけた。やれることは全てやってきた。その自信が、2個の金メダルにつながった。
5000メートルでは最下位の12位に終わったが、集団の中で滑る団体追い抜き、マススタートでは誰にも負けない輝きを放った。小さな「職人」が、一瞬の切れ味で世界を驚かせた。
マススタートとは?
2人1組で滑る他の個人種目と異なり、大勢で一斉に長距離を滑る今大会から実施の新種目。
五輪決勝は16人で、1周約400メートルのリンクを16周。内側の練習レーンも使用し、4周ごとの通過順とゴール時の順位に応じた得点の合計で争う。
1~3位はゴールの着順と同じになるが、4位以下は獲得ポイントで決まる。個人戦だが、同じ国やチームの選手が協力し合い、優位に進められるかも重要なポイント。
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