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基準値を超える水銀を検出
静岡市は、中学生が昨年学校から持ち出した水銀により、同市清水区にある生徒の自宅の大気や土壌から基準値を超える水銀濃度が検出されたと発表した。
実験用の水銀を中学校から持ち出す。
静岡市は26日、清水区内の中学校の生徒が2017年9月25日、理科の実験で使う水銀約500グラム(40CC)を清水区の自宅に持ち帰り、屋外の自宅敷地内に誤って落とし、飛散させていたと発表した。
今月18日に飛散箇所の土壌と敷地の大気を調査したところ、速報値で大気で環境省の安全指針値の約4倍、土壌で環境基本法で定める環境基準の約20倍の汚染が確認された。市保健所によると、直ちに健康に影響を及ぼす数値ではないという。現時点で健康被害の報告はない。27日から専門業者による土の除去が行われている。
自宅で実験がしたかった・・・
生徒は学校に対し「自宅で実験してみたかった」と話しているという。
生徒が中学校の理科準備室から水銀を持ち出したのは、平成29年9月25日。授業で使用後、教諭が薬品保管庫に戻さず放置していた水銀入りのガラス瓶を、ポケットに入れて持ち帰った。生徒は自宅玄関付近で瓶を落とし、水銀約500グラム(約40ミリリットル)が地面にこぼれた。連絡を受けた学校などが現場の土約53キロを処分するとともに、専門業者に検査を依頼。今月26日になって結果が判明した。
市教委によると、生徒は理科の授業後の休み時間に担当の男性教諭(48)が理科準備室の実験台の上に放置していたガラス瓶入りの水銀をポケットに入れて持ち出した。飛散させた当日に保護者から学校に連絡があるまで持ち出されたことにも気付いていなかったという。水銀は通常、薬品庫に施錠して保管し、記録簿に使用日を記入するが、教諭は記入を怠っていた。
影響はないと判断
学校と市教委は飛散日から3日間かけて土壌計53キロを回収し、安全を確保したと判断。事故から約2カ月後の昨年12月に開かれた市の庁内会議で汚染状況を調査すべきとの声が上がり、飛散から約4カ月後にようやく調査を行った。26日まで公表しなかった理由については、不特定多数が往来する場ではないことと、生徒への教育上の配慮と説明した。
市は汚染が分かった26日、飛散場所をビニールで覆い、立ち入り禁止とした。27日から専門業者が汚染の除去作業を行う。
水銀によって起こされる水銀中毒とは
水銀中毒(すいぎんちゅうどく)は水銀に接触することによって起こる中毒症状である。
金属水銀単体の持つ危険性の要因として、標準状態では酸化されて酸化水銀(II) を生成しやすいこと、および落としたりかき混ぜたりすると液滴が微細な粒子となって表面積を劇的に増加するということが挙げられる。
金属水銀は沸点が高いものの、室温で水銀蒸気によって飽和した空気中には、毒性を発揮する程度の数倍の量が含まれる。高温になると、危険性はさらに増大する。
堆積した鉱物の浸食や大気からの沈着によって、河川では水銀の濃縮が起こる。植物は湿った状態だと水銀を吸収するが、乾燥すると排出してゆく。植物や堆積物からなる石炭の中には、さまざまな程度の量の水銀が含まれている。植物と同じく、キノコ類も土壌から水銀を吸収する。
肥料の使用や工業廃棄物の投棄などのように、人間の生産活動も土壌や水系・海洋に水銀を放出する一因である。そのようにして環境中に放出された水銀は、最終的に水や土の表面へとたどり着く。表層水のpHが5から7である場合、水中の水銀濃度は増加する。これは水源近くの土壌中の水銀が移動しやすい形に変わるためである。
ある種の微生物は表層水に達した水銀をメチル水銀に変換する。メチル水銀は神経毒性を持つことが知られている。ほとんどの生物はメチル水銀を急速に吸収する。魚は水から多量のメチル水銀を取り込む生物の一種として挙げられ、そこから生態系の中に拡散していく。魚を摂食した動物には、生殖機能・生長の阻害、胃の障害、腎臓障害などの毒性症状が現れる。
人体への毒性
純粋な金属水銀は、他の重金属と同様に、蓄積されることによって毒性を発揮する。皮膚からはゆっくりと吸収されるが、消化器からの吸収はより遅い。蒸気を吸入すると肺から容易に取り込まれる。
呼吸器系から蒸気として吸収すると毒性が強いものの、他の経路からの場合ではそれほどでもないとされる。金属水銀は吸収されることなく消化器系を通過することもあるとされ、歴史的には腸の障害を機械的に除去するために用いられたこともあった。今日では毒性がよく知られているため、そのようなことは行われない。
水銀の化合物は単体の水銀よりもはるかに高い毒性を持つことが知られ、水銀を含む有機化合物では特に顕著である。例えば、ジメチル水銀は千分の1ミリリットルの量でも死に至る神経毒である。
水銀は中枢神経・内分泌器・腎臓などの器官に障害をもたらし、口腔・歯茎・歯にも損傷を与える。高濃度の、もしくは低濃度であっても長時間水銀の蒸気にさらされると、脳に障害を受け、最終的には死に至る。
水銀およびその化合物は、特に胎児や幼児に対して有毒である。妊娠した女性が水銀に被曝した場合、発生障害を持った子供が生まれることがある(水俣病を参照)。
摂取が止まれば、水銀中毒のうちいくつかの症状は、専用の療法を用いるか、あるいは自然に排出されることによって回復することが可能である。しかしながら、重度または長期間にわたる被曝からは、特に胎児や乳児・小児の場合、回復できない。ジメチル水銀など毒性の高い化合物にさらされると、数時間に満たないうちに死亡することもある。
小児が水銀に被曝した場合、神経系に重い影響を与え、神経鞘の正常な成長を妨げる。水銀は髄鞘を構成するタンパク質に障害を与えるという研究結果が示されている。
小児の水銀中毒は自閉症的兆候の原因となることが疑われているが、この件に関する査読を経た研究論文はいまだ発表されておらず、医療関係者の間でも疑いの域にとどまっている。
また、自閉症関連団体は、自閉症の症状が誕生した時点からあらわれていることを示す証拠が示されていることから、この説を乱暴すぎるものととらえている。
水銀およびその化合物に中毒した人間・動物はしばしば唾液を過剰に分泌する症状を示す。これは水銀流涎 (mercurial ptyalism) と呼ばれる。
水銀を含む保存料であるチメロサールは、1930年代から変質を防ぐ目的でワクチンにごく少量が添加されていた。これに伴う悪影響は、アレルギー症状を除いてこれまでのところ何ら示されていない。しかしながら、アメリカ小児科学会 (American Academy of Pediatrics) などの団体は、予防措置としてチメロサールの使用を控えるよう勧告している。今日では、数種のインフルエンザワクチンを除き、アメリカ合衆国で使われている12種類の感染症用小児用ワクチンにチメロサールは使われていない。
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